一人親方の労災保険特別加入制度の内容をしっかり理解しましょう

一人親方労災保険

労災保険とは、事業主に雇用され労働に従事する労働者を保護する必要性から、業務災害及び通勤災害に対する保護を目的とした制度となります。

労働者に該当しない事業主や個人事業主等は、加入対象外となりますが、一人親方等については一定要件(業務の実態)を満たせば一般の労働者と同様に労働災害から救済する必要があると認められています。

それが労災保険の「特別加入制度」となります。

ここでは、一人親方の特別加入制度について詳しく解説したいと思います。

一人親方の労災保険への特別加入とは

請負契約で一人で仕事をする請負人、すなわち一人親方等の労災保険への加入を「特別加入」といいます。

通常、労災保険は会社などに雇用(社員登用)されていないと加入できないのですが、特別加入というのは全国にある一人親方団体(事務組合)などの会員となることで加入団体に雇用されている労働者とみなされ特別加入することができるというわけです。

特別加入者と補償の対象範囲

特別加入できる者の範囲

  1.  自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
  2. 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復(注)、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)
  3. 漁船による水産動植物の採捕の事業
  4. 林業の事業
  5. 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
  6. 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
  7. 船員法第1条に規定する船員が行う事業
  8. 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
  9. 改正高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づき、同項第1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業

 

                            【厚生労働省HP:特別加入のしおり抜粋】

建設業一人親方の補償の対象範囲

  1. 請負契約に直接必要な行為を行う場合
  2. 請負工事現場における作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
  3. 請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
  4. 請負工事に関する機械や製品を運搬する作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
  5. 突発事故(台風、火災等)により予定外に緊急の出勤を行う場合。これに加え、一人親方等が東日本大震災の復旧・復興のための除染作業を行う場合も労災補償の対象に含まれます。

一人親方労災保険への加入手続き

特別加入の手続き方法


一人親方の労働災害の発生状況

厚生労働省HP引用:令和2年度一人親方等の死亡災害発生状況概要

よくある質問

Q:特別加入労災(一人親方労災保険)に加入していない一人親方を下請として使用し、労働災害が発生した場合はどうなりますか?
A:一人親方は労働者ではないので、保険給付の対象外となります。必ず請負契約の際に特別加入の有無を確認し、未加入の場合は即時加入してもらうようにしましょう!

Q:一人親方労災保険に加入していますが、従業員を数名雇うことになりました。どうすればよいでしょうか?
原則、従業員を雇った場合は中小事業主の特別加入制度へ切り替える必要がありますが、家族従業員のみで事業を行う場合やアルバイトを年間100日未満しか使わない場合などは例外となる場合があります!

まとめ

労災保険とは、事業主に雇用され労働に従事する労働者を保護する必要性から、業務災害及び通勤災害に対する保護を目的とした制度となります。

請負契約で一人で仕事をする請負人、すなわち一人親方等の労災保険への加入を「特別加入」といいます。

特別加入者と補償の対象範囲を確認したうえで、自分が一人親方に該当すれば特別加入団体(事務組合)を通じて労災保険に加入することができます。

一人親方として工事現場で事故に遭いケガをした際、一人親方は労働者として認められないため元請会社の労災保険は原則使えません。

自分の身は自分で守ることとなりますので、未加入者はすぐに労災保険へ加入することをおすすめします。

 

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★一人親方労災保険のご相談は→一人親方部会グループまで

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一人親方の教科書ブログサイト 一人親方労災保険連合会 代表理事 ~一人親方労災保険コンサルタント~ 2012年から特別加入団体の運営に携わり、3団体の代表者として2024年3月まで従事、その後2024年4月より更なる会員サービスの向上と規模拡大のため独立し一人親方労災保険連合会を立ち上げ現在に至る。 【サイト運営方針】 手に職を武器に建設業の前線で働く一人親方様が安心して仕事に従事できるよう、正しい知識や有益な情報提供を行う。 【一人親方労災保険連合会 公式サイト】 https://oyakata-plus.jp